「はい、はい、そこまでですよ。」
パンパンと手をたたいて、二人の言い争いを止める香住サン。
本日ももちろん、不釣り合いな白いフリルのエプロンを着用している。
「壱もそれくらいにして。
梓月もいくら千早くんが可愛いからって、そんなストレートな誘い方じゃ引かれますよ。」
「う、うるせぇー!!」
「それにしても、梓月が熟女好きからゲイとは…。
もしBL物の小説を書くことがあったら、ぜひ参考にさせてください。」
「……お前、ぜってぇ楽しんでるだろ?」
「もちろんです。」
その時、ふいにバチッと香住サンと目が合った。
香住サンはフッと俺に笑いかける。
でも、
俺は慌てて目を逸らした。
未だにアイスクリーム事件を引きずっているせいで、こういう時どうしていいか分からない。
俺にとって香住サンは要注意人物のままだ。
そんな俺のリアクションを怪訝そうに壱が見つめていた。
――その時。
玄関の方からドンガラガシャン!!という物凄い音がして、その場の全員が固まった。