「高校生の青春映画のオーディション、落ちたんだ。」


「…………。」


「今回はけっこう良い所まで行って、さ。
さすがにヘコむわな。なんつーか、もう、さ。」







俺は焼きそばパンを食い終えると、一つ深呼吸した。



「お前!やっぱ面倒くせぇ!!」


「……へ?」


突然、立ち上がって声を荒げると、
梓月は呆気に取られた。





「男のクセにガタガタガタガタ情けねぇんだよっ!
何だよ!?あぁ!?慰めてほしいのか?テメェの気持ち分かるわ、とでも言ってほしいのかよっ!?」


「…………。」


「焼きそばパンには感謝してやるが、んなモンお断りだな!?
叶わなかった時のこと考えてるヒマあんだったら、芝居の勉強でもしろよっ!!このバカがっ!!
テメェがヘコもうが、落ちようが俺には関係ねぇ!!
――ここまで言われて悔しかったら、その一握りの人間ってヤツになってみろよっ!!」





俺は荒い呼吸で、でも胸くそ悪ィ気持ちが治まんねぇ。



「テメェに言い訳して諦めんのは簡単だよなぁ!?ヘタレヤロー!!
何が努力だ!?何が熱意だ!?やるだけやってから言いやがれ!あぁ!?」







俺の勢いに驚いていた梓月は、すっかり俯いていた。



「……悪かったな。」


「あぁ!?」


「女顔、とかさ。お前は、俺なんかよりずっと男前だ。」


「…っ今さら、うるせぇよ。」




俺は梓月に背を向け、キッチンへ行く。