「梅田(うめだ)くん、コレ宜しく。」


「…はい。」





二日酔いで頭は痛ぇし、いまだに気分が悪い。




運ぶように言われたカルボナーラ、ミックスピザ、チョコレートパフェを見て、
さらに気分の悪さが増す。







「あっ、それ、ウチの住人の所だから。」


「はっ?」




ハニかんだように笑うバイトの先輩は苦笑しながら言った。


「あ〜、そっか。梅田くんは今日からだったな。
常連なんだけどさ、深夜によく来る変な客がいるんだ。」


「変な客?」


「あぁ。宿泊代わりみたいに利用してるから、俺らバイトは裏で“住人”って言ってんの。
中高生くらいの少年なんだけどね。」


「少年?こんな時間にいいんスか?」


「本当はダメ。けど、ウチはなんとなくユルい所あって。支配人があのコは特別だって。」


「特別?」





先輩は急に声を潜めながら、口を開く。



「支払いの時に、毎回実際の金額の倍は置いていくんだ。釣りもいらねぇって。
ココだけの話、支配人はそれを自分の懐に…ね。」







……そういうことか。


チェーン店でもねぇ、
場末のスナックみたいな雰囲気があるし、
胡散臭いカラオケ店だと思っていたが。









「まぁ、でも見れば分かるよ。マジで変な客だから。」