ショックだった。
お姉さんたちの、言葉じゃなくて。
嫉妬とか、そういうものを浮かべた瞳が物語る。
お姉さんたちに、俺は“男”でなく、“女”に見えているということが。
ショックだった。
桜子サマが用意してくれていた、何となく可愛い感じの服のせいだとしても。
桜子サマにとって俺は“可愛い系美少年”で、だから俺だって仕方なく……。
……つーか、俺のせいで香住サンは今恥かいてんのか?
他人の目には、そう映ってしまうことが何より申し訳なかった。
俺は堪らず俯いた。
けれど、目の前の香住サンは予想外の一言を呟く。
「……卑猥だね。」
「…え?」
「半人前の官能小説家としては、そそられるんだよね。そーゆーの。」
急に敬語じゃなくなった香住サンの態度に、俺は戸惑う。
香住サンは俺の手からアイスクリームを取る。
「ちょっ!ベタベタになるからっ!」
でも、香住サンは聞く耳を持たない。
アイスクリームに塗れた俺の手を取ると、その指先を突然舐めた。
「なっ!!?」
まるで猫のように、香住サンは俺の指先を舐め続ける。
上目遣いで、
その様こそ、まさに卑猥だった。
「…ンッ!ヤメっ!」
手を引こうとするも、しっかりと掴まれている。
くすぐったくて、香住サンの舌が触れた場所が熱い。
エロいというか、セクシーというか、
どちらにしても俺はパニックで。