『金以外に何があるっていうの?
それとも、まさか、愛だなんて言わないわよね?』
徐々に歪んでいく美しい顔。
美人の渇いた表情はどこまでも冷たい。
『アタシは自由でいたいの。アナタに縛られるなんてゴメンよ。』
セクシーな黒い下着姿で平然と歩く女は、ベッドルームの男から名前を呼ばれると卑猥な笑みを浮かべた。
『アナタがまともに生きるなんて無理に決まってるじゃない。
だって、アナタは――。』
舐めるような眼差し、
美しい女の顔が次第にぼやけていく。
『夢なんて見るもんじゃないわ。アナタには無理よ。
だってアナタは――。』
水面が揺れるように、女の姿は不鮮明になる。
――頼むから…消えてくれ。
『――だって、アナタは、アタシの子なんだから。』