また、だ。 自分が自分じゃねぇみたいな。 俺なんかより、ずっと上手で、適わなくて――…。 花本千早は、 その赤い唇に自らの人差し指を当て、首を傾げた。 「二人だけの秘密、だよな?」 また、だ。 俺は、また、完敗だった―――…。