「さぁて、どうしようか?
ここはオンナノコは立入禁止なんだ。」
「…………。」
「今、俺が大声で叫んだら…どうなるかな?」
俯いていた花本千早は、顔を上げた。
俺はわざとらしく、息を大きく吸い込む。
「なぁんてね」、と言おうとした瞬間だった。
グイッと、俺の頬を花本千早が両手で包む。
――そして、強引に唇を塞がれた。
目を見開いたまま、微動だに出来ない俺。
唇に温かく柔らかいものが触れている。
さっきのデザート……フルーツの甘い味。
爽やかな石鹸の香りが、俺をどこかへ連れていってしまいそうな、
そんな気がした。