「……梅田 壱。」
「ウメダ イチ、ねぇ〜。」
………バカヤロー。
「俺は、知ってるよ。」
「ん?」
「俺、お前の秘密知ってるよ?」
「秘密?」
俺は、花本千早の腕を引き、抱き寄せた。
間近で見ると、その分よく分かる。
長い睫毛、薄茶色の瞳。
「千早ちゃん?」
「……!」
花本千早の顔色が変わった。
「アンタ、カラオケ屋の――…。」
「やっと思い出してくれた?
酷いな、忘れてるなんて、さ。」
「…………。」
初めて見せる、たじろぐ様子。
ヤベー…楽しいー。
強気な子が弱気になると、ハンパなく可愛いな。
怒りなんかとっくに治まってたけど、もう少しイジメてやりたくなってきた。