「集まれる時はな。バイトとか、色々あるから、全員揃うのは珍しいけど。」
そこで、何気なく会話が途切れる。
沈黙がどうしようもなく不安で、俺は口を開く。
「なぁ?」
「んー?」
「…本当に、バンド組んでくれんのか?」
「あぁ。アンタ、上手かったしな。」
「…当たりめぇだろ。あれから…必死でやったんだよ。」
「は?」
「………は?」
花本千早は、意味が分からないといった顔をしている。
「あれからって?」
コイツっ!?まさか!!?
「俺のこと、覚えてないのか!?」
「誰だよ、アンタ。」
………嘘だろ、おい。
何だ、これ……。
愕然とすると同時に、怒りが込み上げてくる。
この女は、覚えてもいねぇなんて。
「アンタ、名前何だっけ?」
…しかも、ここまで来て名前も覚えてねぇのかよっ!!