「それから、壱。」
「まだ何かあんのかよ。」
「千早くんの部屋、壱の部屋の隣なんですよ。」
「だから?」
香住は俺の耳元に顔を寄せ、小声で言った。
「夜這いに行っちゃダメですよ?」
「!!?」
目を見開いた俺をからかうように、
香住はとっとと階段を上がり、自室へと引き上げていく。
「行かねぇーよ!!」
香住は振り向くことなく、ヒラヒラと手を振るだけ。
あの変態王子がっ!!
何で仮にも男の寝込みなんか………ん?あれ?
まぁ、確かに花本千早は男装した女で……ん?
よく分かんねぇけど、何となく香住の言葉に違和感を感じた。
自分でもなぜかは分からない。
でも、どうしてか釈然としない。