俺たちに3人が贈る拍手。
香住は優しい笑みで、
梓月はわざわざ立ち上がっていて、
リョウは天真爛漫にハシャぐ。
すげぇ照れ臭いのに、マジで気分がいい。
俺が弾くギターと花本千早の歌声が面白いくらいにシンクロして……改めて思った。
音楽って、こんなに楽しいもんだったんだ。
「最高じゃん!よぉし!お前らのバンド名は俺が決めてやる!喜べ!!」
梓月の突然の申し出に、俺は固まった。
「喜べって……誰も頼んでねぇぞ…。」
「いいんだよ!
お前らのバンド名は……『Baby Apartment』だ!!」
「は?」
「『Baby Apartment』で結成したから『Baby Apartment』!
どうだ、カッコいいだろ?俺、やっぱ天才だわ!」
いや、とてつもなくダセぇだろ。
つか、そもそもアパートじゃなくてバンドだ。
ツッコミどころ満載だな、おい。
すると、俺の心の声が聞こえたかのように花本千早がポツリと言った。
「ダセ。」
「…あぁ!?」
速攻でキレた梓月を挑発するように、花本千早はきっぱりと言う。
「超ダセぇ。」
「っテメッ!!人がせっかく考えてやってんのに、ふざっけんなよ!!女顔!!」
掴み掛かっていこうとした梓月を、花本千早は睨んだ――。
まさか…………。