「……歌手。」
………………歌手!!?
俺は思わずガタッと立ち上がった。
4人の視線が俺に集中する。
そこで、梓月はパンッと手を叩いた。
「よしっ!ちょうどイイ!お前らっ、バンド組め!!」
「「あっ」」
俺と花本千早の声がカブった。
「壱はボーカル探してんだろ?ちょうどイイじゃん!
千早、コイツはギター上手いぞっ!!」
このバカッ!!何も知らねぇで!!
俺は一回フラれてんだよ!!!
しかし、俺の思いとは裏腹に花本千早は意外な言葉を口にする。
「…聞かせろ。」
「……え?」
花本千早は、上目遣いで俺を見据えた。
「上手いんだろ?聞かせてみろ。」
……何考えてんだ、この女。