振り向くと、鬼のような形相の梓月が立っている。
穏やかな笑みで、
「どこに行ってたんですか?もう夕食は残ってないですよ。」
と香住が言う。
大きな足音を立てながら、梓月は喚いた。
「お前らぁ!俺のこと忘れてたろ!?」
ったく、うるせぇな……。(←思いきり忘れてた人)
梓月は、花本千早に気づくと騒々しい足音のまま近づく。
テーブルをバンッと叩いたかと思うと、威嚇するように言った。
「新入り!名前は?」
「…花本千早。」
「あん?顔だけじゃなくて名前も女みてぇだなぁ。」
瞬間、花本千早の肩がピクリと揺れた。
バカ梓月……。
そこ、だいぶデリケートな所だぞ……。
「年は?」
「……19。」
「おぉ!タメか!よしっ!」
……何が「よしっ!」なんだよ。
「じゃあ、千早!お前の夢は何だ!?」
「あ゛?」
梓月は、いつでも直球勝負。
計算高いリョウとは正反対なヤツ。
多少ウザいが、今日ばかりはその性格に感謝してやる。
俺も、花本千早の夢が気になっていた。
梓月を睨む花本千早。
けれど、梓月の
「夢があるから、ここに来たんだろ?」
という言葉で真っすぐに呟いた。