「それではぁ!『Baby Apartment』ライブ打ち上げと、香住の送別会にカンパーイ!!」
梓月の掛け声とともに、グラスとグラスが擦れ合う音が鳴り響いた。
バルコニーに集合した俺たちを包む香ばしい匂いと白煙。
「これが、ばーべきゅーかぁ…。」
千早は瞳をキラキラと輝かせる。
網の上には、肉に魚介に野菜。
鉄板の上には、香住が調理中の焼きそば。
そして、パァンと花火が夜空を彩った。
「あ〜そういえば今日って夏祭りだったねぇ〜。」
もうすでに、ほろ酔い気味のリョウが呟く。
「バーベキューに花火!最高じゃん!」
頭にタオルを巻いて、Tシャツの袖を捲った梓月は嬉しそうに言って、肉に噛りついた。
いくつもの花火が夜空に咲いていく。
その光景を、千早はただじっと見上げていた。
メシに手をつけることも忘れて。
「…綺麗だな。」
「…あぁ。」
花火の輝き、
その真下に煌びやかな街明かり。