「…壱。」 「ん?」 「…一回しか言わねぇから、よく聞けよ。」 「?」 「……初恋だなんて言ったら笑うか?」 「…そ、それって――。」 壱の言葉を聞かず、壱の横を擦り抜けた。 闇に包まれていたステージに落ちる光。 沸き上がる歓声。 「千早!それって!!」 俺の後を追いかける壱の声は、聞こえないふり。 顔が熱くてどうにかなりそうなのは、 きっと照明のせい。