「…なんて、愚問だな。」
香住サンは目を伏せて笑う。
「千早くん、
僕がいなくなっても、ここにはまた新しい誰かがやって来るでしょう。
千早くんがやって来た時のように。
そうして、また新しい仲間になるんですよ。」
「…………。」
「千早くんが引き止めてくれた、
その気持ちだけいただいておきます。」
「ッ!香住サン!!」
俺は、もう何か、よく分かんねぇけど、
泣きそうだった。
本当に、最近涙もろい。
顔を歪めて今にも零れそうな涙を堪える。
香住サンは、酷く穏やかで、
酷く優しくて。
ニコリと笑って言った。
「千早くん、出会いも別れも経験して、素敵な大人になってください。
君の夢を、応援しています。
――千早くんなら大丈夫ですよ。
すぐ傍に、君を不器用な愛で包んでいる奴がいるんですから。」