西園寺桜子が自身の私財から『Baby Apartment』を作ったのは、若者の夢を応援するためではない。




莫大な金を持っていながら、その不自由な外見のせいで男に縁のなかった彼女が自分だけの逆ハーレムを作るため。



夢はあるけど金はない俺たちにとって、桜子サマは絶対的な女王様というわけだ。





『Baby Apartment』は、桜子サマ以外の女は立入禁止。









俺たちは、それぞれの夢を追いながら一つ屋根の下で生活している。


現在の同居人は3人だ。






一番年上の香住は、小説家……しかも官能小説家を目指している。


桜子サマが言うには、“現代に舞い降りた王子様”らしい……。



確かに紳士的な敬語喋りや、甘いルックスなんかはそうかもしれないが、
中身は稀に見る変態だと、俺は思う。




小説家を志しているため、家にいることが殆ど。


だから、家事は大概香住の担当だ。







銀髪に左側だけ髪を伸ばしたアシンメトリーという髪型のリョウは、人並みはずれたナルシスト。



“日本一のホストになる”という訳分かんねぇ夢を真剣に持っていて、歌舞伎町のホストクラブで働き始めたばかりだ。



魔性で天然というのは表のツラで、実際は計算高く腹黒い。


コイツの“天使の微笑み”に桜子サマは騙されている。







梓月の夢は役者。


下北沢の貧乏小劇団で芝居をやっている。



ケンカっぱやい、
要はヤンキー上がりのただのバカだ。(←俺だけ短くね!? by梓月)