「別に、構いませんけど…。」


「いいよな!どーせ、ここにいるのなんか男だけだし!」





梓月は意気揚々とテレビへ向かう。





ボソッと、リョウが呟いた。


「…オトコだけじゃないよ。」




俺が慌てて、その口を塞いだことは言うまでもない…。







リョウを羽交い締めにしながら、チラリと千早に目をやった。





千早はビデオテープを拾っていた姿勢のまま、しゃがみ込んで俯いている。


髪に隠れて、その横顔は見えない。






どうしたんだ…?、
そう思っているうちにテレビから聞こえてきた喘ぎ声。










画面には裸の女が映る。




真っ赤なルージュをひいた唇、
唇のすぐ下に小さなホクロ。

潤んだ、大きな瞳。




顔といい、身体つきといい、確かに美しい女だった。





ビデオテープのせいか画質が悪く、ときどき雑音も入っている。





それでも、その女優の気だるそうな雰囲気や妖艶さは画面を通して伝わってくる。










渚というAV女優は何十人という男に囲まれて、声を上げていた。




その様子は、リョウが「えげつな…。」と呟いたほどだった。