「千早。」
「…何だよ?」
曲が出来たんだ、
そう言おうとした時だった。
ガッシャン!と大きな音が響いた。
振り向けば階段の途中に香住がいて、下にはいくつものビデオテープが転がっていた。
底の抜けたダンボールを持ったまま苦笑する香住。
……どうやら落としたようだ。
「びっくりしたぁーー。」
ホッと胸を撫で下ろすリョウ。
「すみません。」
「…まだ片付け終わってなかったのかよ?」
千早の問いに、
「これが最後です。」
と、香住は答えた。
とりあえず、転がったビデオテープを拾って手伝う。
今どきビデオテープ?、とどうでもいい事を思っていると梓月が声を上げた。
「えぇーー!!」
全員の視線が梓月に集中する。
騒がしい奴だな……。