雨が流れるステンドグラスの横を通り過ぎて、俺は階段を降りた。
リビングには梓月とリョウ。
そして、千早がコーヒーを啜っている。
俺はテーブルを挟んで、千早の前に座った。
「サンドイッチ美味かったよ。」
千早は顔を上げた。
「…別に。」
「ありがとう。」
照れ臭そうに、千早は目を伏せる。
俺は頬が緩んでしまいそうになるのを堪えて、千早を見つめていた。
何となく、久しぶりにリビングへ来た気がする。
ずっと部屋に閉じこもっていたせいだろう。
テレビの音や、梓月とリョウが言い争う声。
ごく当たり前のものを懐かしく感じた。