「『戸惑う君に、もう一度囁いた。』」
「ッ!」
「『…アイシテル。』」
俺は目を見開く。
抱きしめられた腕の力が弱まった。
けれど、俺は息つく間もなく、ベッドに押し倒されていた。
部屋は静寂に包まれている、
耳に響くのは自分の大音量の鼓動。
香住サンの手が、
俺の頬に触れて、
そのまま綺麗な顔が近づいてくる。
――ギシッと、ベッドが鳴った。
キスされるっ!!
そう思って、僅かばかりの抵抗で顔を背ける。
きつく、目を閉じた。
…………。
………………。
フッと、香住サンが笑う。
恐る恐る瞼を開けると、
香住サンは今まさに寸止めという距離の所にいる。
整った顔から漏れる、切なげな笑み。