生きた心地がしなかった、
俺は心で呟いた。
俺はベッドに腰かけ、香住さんは俺の正面に跪いていた。
丁寧に消毒されて、絆創膏を貼られる。
俺のガキみてぇに小さい手とは違い、香住サンは手まで美しかった。
細くて長い指なんか、まるで芸術品みたいだ。
「はい、出来ました。」
「…悪ィな。」
俺は、部屋の中を見渡してみる。
部屋に入ったときと比べれば、少しは足の踏み場が出来ている。
隅に積み重ねられた本、
さっき香住サンが片付けていたものだ。
タイトルは、
【イケナイ関係】、
【イケナイ人妻】、
【イケナイ学園】……。
……AVのタイトルと変わんねぇじゃねぇか。
「官能小説ってどんなの?」
「え?」
香住サンは首を傾げた。
「読むAVって感じなのかなぁって、さ。」
「まぁ、ざっくりと言えば……試してみますか?」
「?」