「千早くんは身長何センチですか?」
「……153。」
「僕は180です。」
フッと表情を緩めて、香住サンは言った。
……嫌味か?コラ。
怪訝な顔をする俺を気にもせず、
香住サンは目線を同じ高さにして覗き込む。
ち、近い……。
俺の背中には本棚、
まるで香住サンに囲われているような状態。
逃げ場がねぇ…。
「な、何だよ…。」
「千早くん……。」
するりと、香住サンの手が俺の腕を這った。
ピクリと、肩が揺れた自分が情けない。
香住サンの手は、腕から俺の手へ――。
撫でるように触れる香住サンの手の動きが卑猥だと思った。
180センチの綺麗な顔をした男に、間近で見下ろされる。
「何だよっ!!」
耐え切れなくなって、もう一度叫んだ時。
香住サンの手が、俺の手を握った。