「いらない物を処分したいんです。」
「いらない物って?」
「そうですねぇ〜。
あっ、あの本棚の物は全て必要ありませんね。」
指差した先、黒いシーツのベッドの向こうは壁自体が本棚になっていた。
「了解!」
香住サンには、アイスを奢ってもらったり、バイトを紹介してもらったり借りがあるからな。
俺は本棚へと近づいた。
香住サンは、すぐ近くで座り込んで散らかった本の整理を始める。
壁一面の本棚に並べられていた物は本ではなく、DVDやビデオテープだった。
とりあえずゴミ袋にそれらを入れていく。
それにしても、すげぇ量…。
ふと、何気なくDVDのタイトルが目に入った。
【小悪魔痴女】、
【淫らな個人授業】、
【隣のキレイなお姉さん】、
【続・隣のキレイなお姉さん】、
【未亡人】……。
「……香住サン、もしかしてココにあるのって全部…。」
「あぁ、AVですよ。」
サラッと言うなっ!!サラッと!!!
「職業上の、資料みたいなものです。」
……官能小説を書くための資料って事か。