「千早くん!」
階段の途中で名前を呼ばれ、顔を上げればリビングに香住サン。
なんか…久しぶりに顔見た気がすんのは気のせいか?
「どうしたんですか?」
「へっ?」
「顔、真っ赤ですよ?」
「…………。」
壱のせいだ!、という言葉は辛うじて呑み込んだ。
俺は、さっさと話を誤魔化す。
「香住サン、最近忙しそうだな?」
「え、えぇ。まぁ。」
困ったように笑う香住サンは、よく分かんねぇけど何か不自然だった。
「千早くん。」
「んー?」
「今から自分の部屋の大掃除をしようと思ってるんですが、手伝っていただけませんか?」
「え?大掃除って…今、真夏じゃん?」
「そうなんですが…。」
そこで、香住サンは言葉を濁した。
やっぱり困ったように笑う。
「片付けって苦手なんですよ。」
「…………。」
「手伝っていただけますか?」
「別に、構わねぇけど…。」
「助かります。」