「痛っ!」
指先から血が滲む。
俺は、深く長い溜め息を吐き出した。
19にもなって、包丁もまともに使えない自分に呆れる。
サンドイッチを作るだけで、このザマとは…。
「切ったの?」
そう言いながら飛んできたのは、リョウで。
日の光を受けて揺れる銀髪の髪。
リョウは、俺の手を取って傷口を見つめる。
「かすり傷だよ。」
その手を引こうとした。
が、しかし。
リョウは何食わぬ顔で、傷を作った指を口へ入れた。
「!!?」
あまりの衝撃に、声も出ない。
リョウは、そのままの状態で上目遣い。
すると、まるで挑発するように、指先をペロリと舐めた。
「ッ!」
ゾクリと、可笑しな感覚が背筋に走る。
俺は強引に手を引いて、リョウを突き飛ばした。
指先に残る熱、
舌の感触…。