「このブタは?」
「それも、俺。」
「……梓月。お前、クリスマス時期になると、ぜってぇ率先してツリー飾るタイプだろ?」
「あん?」
梓月は不機嫌そうに振り返る。
…んとに、単純な奴だよな。
クスクスと笑う俺に、訝しげな視線を向ける。
「何だよ。悪ィかよ…。」
「いや…別に…。」
笑い続ける俺、
梓月は俺を見つめていて、それからふいにバチッと目が合った。
あまりにも真剣な、切ない瞳をしていたから、俺は笑うのを止めた。
……そんな目で見るんじゃねぇよ。
急に現実に連れ戻された気になって、一気に気まずい。
俺は、今まで梓月とどう接していたっけ?
うまく思い出せなかった。
「…あー香住サンは?」
「打ち合わせ。」
「そうか。…最近、多いな。」
「…………。」
「リョウは?」
「さっき出かけた。店でミーティングがあるから早く行くって。」
「そ、そうか…。」
「…………。」
訪れた沈黙が重くのしかかる。