「ほら。」と、壱はテーブルに皿を置いた。
目をやると、皿の上には四角いいちごのケーキ。
「千早、けっこう甘いもん好きだろ?」
「好き!」
俺の言葉を聞いた壱は、なぜか顔をタコみてぇに赤くして目を逸らした。
でも、俺にとってそんな事はどうでもよくて。
ケーキを目の前にして、それしか頭にない。
フォークを掴んで、手をつけようとした。――その時だった。
「千早くん、こっちのほうが美味しいですよ。」
コトッとテーブルに置かれた皿の上には、シフォンケーキ。
「クリームがフワフワでした。」と、香住サンは俺に耳打ちをする。
フワフワ!
そのキーワードはヤバい!!
「バッカじゃねぇの!」、と今度は梓月が押し入ってきた。
「千早!チーズケーキ食えよ!マジ濃厚だから!」
差し出されたチーズケーキは見るからに濃厚そう。
がっつりチーズ、みたいな。
「どれも、これも、ダメだネ!」
颯爽と現れたリョウが持っていたのは、チョコレートケーキ。
「千早はチョコレートケーキのがタイプだよねぇ?
ほんのりビターで最高だヨ☆」
俺の目の前には、ケーキが4つ。
壱がススめる、いちごのケーキ。
香住サンがススめる、シフォンケーキ。
梓月がススめる、チーズケーキ。
リョウがススめる、チョコレートケーキ。