桜子サマの長ったらしい挨拶は永遠と続き、
その後ろで立ち尽くす俺たちは、まるで本物の執事みてぇだ、と思った。
床から天井までの大きな窓の向こうには、テラスと何故かプール。
さらに、その向こうには庭園。
薔薇のアーチがあった。
非日常な空間だよな。
でも、このセレブだらけのパーティーに助けられてもいる。
正直、あの広い家の中は、今の俺にとって気まずくて堪らねぇんだ。
梓月の告白、
リョウにバレた、俺の正体。
あの嵐の夜。
俺に「部屋に行ってろ」と言った壱が、リョウ何と説明したのかは分からない。
でも、あれからリョウがその件に関して触れることはなかった。
こんなはずじゃなかったのに。
何だって、こんな事になっちまったんだ?
溜め息を吐かずにはいられなかった。
アイツらは皆イイ奴らで、俺は時々ウザったく感じながらも――楽しくて。
今まで友達なんかいなかったし、家族の温もりとか…そんなもん知らねぇから。
初めて…友達になれるかもしれねぇって思ったのに。
血なんか繋がんなくても家族に……とか。
あー何か一人でバカみてぇ。