今日一番の雷鳴が響き渡る。
まるで、地を割るような。
ボクは思わず踞った。
「ギャァァーーー!!!!」
自分でも驚く程の声が喉から飛び出した瞬間、辺りは真っ暗になった。
「――ッ!!」
どしゃ降りの雨、光る空。
頭のどこかで停電だろうと思ったけど、今のボクに冷静さはない。
不気味にまとわりつく闇に侵食されていく気がした。
「……だれかぁ…。」
その時、足音がした。
するり、するりと。
少しずつ近づいてくる。
一瞬、ユーレイの類かもしれない、と本気で思った。
そのくらい、ボクは切羽詰まっていた。
暗闇に慣れない視界に、ぼうっと浮かび上がった影。
「……リョウ、か?」
その声に、ボクは涙が出るほど安心した。
「ッ千早…?」
「…停電だよな?俺、風呂入ってたんだけどさ、すげぇ悲鳴が聞こえたから慌てて――。」
「ボク、雷…ダメなんだ。」
「…そうか。まぁ、そのうち電気もつくだろ。俺、着替えて――…。」