ボクがホストの仕事を終えて帰ってくる頃、
みんなは起きてカスミが作った朝食を食べていたりする。
「ただいま〜。」
「おかえりなさい。」
ニコッと、朝から優しい笑顔で迎えてくれるカスミ。
きっと女の子なら、いい奥さんになるヨ!
料理上手だし、癒し系だしね!
ボクは基本的に朝食は食べない。
昼夜逆転した生活だし、
何より仕事の疲労で、そのままソファーに身体を投げ出す。
クッションに顔を埋めて目を閉じた。
着替えなきゃ。
シャワーを浴びて、それから寝ようかな、なんて思っている時にボクは気づく。
リビングには全員揃ってる。
なのに、嫌に静かだった。
いつもなら梓月の騒がしい声が聞こえるのに。
ボクは瞼を開けて、テーブルを囲んでいるみんなの様子を窺ってみた。
それぞれが立てる食器の擦れ合う音、
テレビのニュース番組から女性アナウンサーの明るい声、
でも、みんなは不自然なほどに押し黙っていた。
梓月にいたっては終始俯いてるし…。
何となく漂うギクシャクとした空気。
――まぁ、無理もないか。