「千早。」 自分でも驚くほど、はっきりとした声が出た。 不自然な俺の様子に、壱たちの視線が集まる。 「俺は――。」 誰にも取られたくない。 壱にも、 香住にも、 リョウにも――渡したくない。 「俺は、千早が好きだ。」 千早は目を丸くする。 時間が止まったかのように、誰一人動かない。 「好きなんだ。」