高校時代、興味本位で書いた官能小説が佳作になったことがある。
それに目をつけたのが今の出版社だ。
愚かにも自分の才能を信じてしまった俺は、それから官能小説家を目指すことになる。
あの頃は、紛れだとか微塵も思わなくて、何も考えずに走ることが出来た。
若いってのは、勢いに任せて何でも出来るのかもしれない。
恐れるものなど、何もなかった。
今にして思えば、俺は自惚れていただけなんだろう。
いくつもの物語を作りあげても、それが光を浴びることはなくて。
言われるのは、いつもお決まりのセリフ。
『ありきたり』。