千早のいない夜。 俺は一晩中、思っていた。 どこで何をしているのか。 辛い思いをしていないだろうか。 笑っているだろうか。 心配で、心配で、苦しくて、気になって。 本当に、千早のことばかりだ。 そんな自分を――いや、自分たちを酷く滑稽だと思う。 でも、悪くなかった。 「ただいま。」、 と言って千早が笑う。 ――今は、まだ今は、ただそれだけで。 構わない。