――俺と目を合わせた千早は、酷く驚いた顔をする。
無理もない。
散らかったリビング、ザコ寝する男たち、
そんな光景が広がってんだから。
「千早…。」
俺は酷く安心して、
同時になぜかぎゅうっと切なくなった。
自分がどれだけ千早に会いたかったのか、
それに気づいてしまったんだ。
千早は不思議そうに、俺を見つめる。
何か言いたい事は、きっと山ほどあったはずが、
いざとなると何も出てこない。
「千早…おかえり――。」
それが、精一杯だった。
千早はニコッと笑って、
「ただいま。」
と言う。
ステンドグラスから降り注ぐ光は、千早の透き通るような美しさを照らしていた。