千早が来る前は、4人の生活が普通だった。






けれど、こうしてテーブルを囲んでいると、ポッカリと空いた椅子が嫌に目立つ。




一つ屋根の下に暮らしていても、それぞれの生活のスタイルはバラバラで、
こんなふうにリビングに集うことなんかなかった。


――千早が来てから、リビングで過ごす時間が増えた気がする。






それは、俺だけでなく、きっと他の奴らも。










「…千早、帰ってくるよネ……。」



テーブルに顎をついた姿勢で、リョウが呟く。





「当たり前だろ。」


俺は、ハッキリと言った。





それを聞いた梓月は、
「よぉしっ!」と勢い良く立ち上がる。


「たまにはビールでも飲もうぜっ!なっ!」


「いや、お前は未成年だろ。」


「細かいことは気にすんなって!」


「大体、俺飲めねぇから。」





俺は酒を受け付けない身体らしい。

ビール一口でヘロヘロになってしまう。



しかも、翌日の二日酔いと言ったら最悪だ。







「じゃ、壱はコーヒーだな!」


「……おい。」