香住が運んできたパスタは、鮮やかな赤色のトマトと綺麗な緑色のブロッコリーが花を添えていた。
味はサッパリとしていて、鷹の爪とニンニクが程よいアクセントになっているようだ。
「あーー!!」
突然、テレビを指差して驚いたような声を上げるリョウ。
俺たちの視線が集中する。
「見て、見て!」
リョウが見ていたテレビに映るのは、ラブコメ物のドラマ。
「ねぇ!あの女優、千早に似てない?」
しなやかな長い髪の女が、画面の中にいた。
確かに、真っすぐな眼差しとか、どこか気の強そうな雰囲気とか、分からなくもないが。
「バーカ!千早のが、もっとアレだろ。」
梓月は自信あり気に、そう言う。
対してリョウは、
「バカにバカって言われたくないネ!」
と文句を言った。
梓月が言った、「千早のが、もっとアレだろ。」という言葉の意味が分かってしまう。
俺も同じ事を思っていたから。
――千早のが、もっと綺麗だろ。