エレベーターを降りて、マンションのエントランスから外へ出る。
道沿いに、一本一本と桜の木が等間隔に並んで、舞い散る花びらがひらりと落下する。
その下を、私とジンは歩いた。
「どこに行くの?」
「え…あぁ…ジンが迷子になった公園。」
「あぁー、あそこも桜いっぱいあったもんねぇ。」
いちいちドギマギしてしまう自分を、だらしなく思う。
同時に、何も気にしていないようなジンを見ていて悔しくなる。
何だか、これじゃ、私ばっかりドキドキしているみたいだ。
背の高いジンを見上げれば、その背景に美しい桜。
……ムカつくくらい、絵になる男だ。
私は、さっさと目を逸らす。
私のショボい歩幅に合わせて隣を歩いてくれるジンの、そういう優しさが嬉しいような、切ないような、悔しいような………。