「初めまして、川野です。」
私は軽く会釈をして、そう言った。
沢崎さんは、私に手を差し出す。
握手か?
一瞬、戸惑ったものの、私は手を出して握手をした………その瞬間だった。
握られた手を引っ張られ、なぜか抱きしめられると頬にキスをされたのだ。
驚きすぎて声も出ず、固まる私。
沢崎さんは、何事もなかったかのように微笑んで言った。
「これから、よろしくお願いします。」
開きっぱなしになっていた扉に手をかけ、先程の私のように軽く会釈をすると、静かに扉を閉めた。
一人、取り残された私は放心状態……。
……何すか?今の…!?
挨拶!?挨拶なのか!?外国式の挨拶なのか!!?
半分パニックのまま、何気なく自分の部屋の扉を視界に映して、私はさらにパニックになる。
ほんの少し開いた扉の隙間から、覗いているジン。
……見られた!!?
ジンは、私と目が合った瞬間、バタリッと扉を閉めた……。
…見られた………。