歩きだすと、もう花が散ってしまった桜の木が行儀よく並んでいる。
雨に濡れる木々は、どこか寂しそうだった。
― 「ツバサちゃん!おかえりっ!」
― 「アナタの愛犬は、独占欲が強いから。よく覚えておいて。」
― 「閉じ込めて襲うのも悪くない。」
― 「俺の目には、ツバサちゃんが天使に見えたんだよ。」
― 「…“翼”って、いい名前だよね。」
― 「もう大丈夫だよ。もう一人ぼっちじゃない。」
― 「ヤキモチだよ。悪ィかよ。」
― 「俺とツバサちゃんって味の好みが一緒!
相性バツグンだ!」
― 「…しっかり味わっておかないと、さ。」