「ねぇ、まだ?」
「まだ。」
「ねぇ、あとどれくらい?」
「さぁ?」
「ねぇ…歩美。」
「あ?」
「疲れた。」
「知るかっ!ボケぇっ!!」
「…………。」
歩美に誘われてやって来たものの、どうにも私には向いていないようだ。
長い長い列を目で追って、どんどん億劫になる。
「ファンクラブに入ってたって、なかなかチケット取れないんだから!
今日は、何てったって活動休止からの復活ライブだし!」
「はぁ…。」
「翼もライブ見たら絶対ハマるって!
ペットより絶対メロメロになるから!」
歩美のテンションは高い。
周りの女の子たちのテンションも高い。
アイドルのコンサート初体験の私は、この独特の雰囲気に馴染めずにいる。