「…川野サン、仁のことは忘れてやって。」


「え…?」


「もう、仁には会えないよ。」


「……どう、いう…?」


「君は、俺たちとは住む世界が違う。」


「…………。」







住む世界?









「仁は、元々のいるべき場所に戻ったんだ。
君には迷惑かけたけど、
忘れたほうが君にとってもいいと思う。」


「………忘れられるもんなら…忘れたいよ。」


「え?」


「勝手に目の前に現れて、勝手にいなくなって!!あんなバカペット!忘れられるもんなら忘れたいっ!!
けどっ!忘れられるわけないじゃん!!こんなに惚れさせておいて、急に消えちゃって…忘れられるわけないじゃん……。」




声を荒げて感情を剥き出しにした私の瞳から、
また涙が零れ落ちる。












苦しい、苦しいよ…。





ジン、私を置いていかないで。








いてよ。ずっと傍にいてよ。














涙を何度も拭った。
拭っても、拭っても、止まってはくれない。