「…ッ…ジンは…どこっ……?」
私は、力なく座り込んだ。
その時、自分が泣いていたことに初めて気づいた。
「本当に、何も知らないんだね。」
「……グス…ウッ…。」
だらしなく泣き崩れる私の頭上で、沢崎さんは途方に暮れたような溜め息を吐いた。
「俺と仁はね、まぁ、仕事仲間かな。ずっと一緒にやってきたんだ。
…けど、新入りが入ってさ、まとまらなくなってギクシャクして。」
「…ッ……グス……。」
「若けぇ奴は血の気が多いから、殴り合いのケンカなんか日常茶飯事?
仁は、何ていうか…まとめ役だったから、んな状況でも色々やっててさ。」
泣き続ける私、
沢崎さんは少し沈黙した後で、
「ごめん。訳分かんねぇよな。」
と呟いた。
「まぁ、簡単に言うとカレーライスだな。」
「ふぇ?」
「俺と仁と新入り三人は、一緒に住んでたんだ。共同生活ってヤツね。
さすがにヤバいと思った上の人間に、絆を深めろって言われてさ。
でも、余計にストレス溜まって全然上手く行かねぇの。」
「…………。」
「仁は、それでも色々やってたよ。訳分かんねぇパーティー企画してみたり、腐るほどテレビゲーム買ってきたり。
仁はそうやって歩み寄ろうとしてたけど、
毎日メシ作ったりして。」
「……メシ?」
顔を上げた私に、沢崎さんは笑いかける。