「翼先輩!お久しぶりです〜。」
「…久しぶり。」
私も笑顔で言った。
その横で、歩美は気が気じゃないというような表情、
桜助の笑顔は引きつっている。
なんとなく流れる微妙な空気。
「翼先輩。」
「ん?」
「オースケ先輩のこと、盗っちゃってゴメンナサイ☆」
首を傾げるようにして、上目遣いで言うナナセちゃん。
「でも、翼先輩はナナセからオースケ先輩を盗らないでくださいネ☆」
流れていた微妙な空気は、一瞬にして止まった。
「へぇ〜続いてたんだぁ。」と、歩美が皮肉っぽく呟く。
桜助は、といえば………
「いやぁ〜…ははははは……。」
そして、私はといえば、全然別の事を思っていて。
ウルウルでキラキラ、
上目遣いなナナセちゃんの瞳を見つめながら、
犬に例えるならチワワかなぁ、なんて。
「ナナセちゃん。」
「はい?」
返事をしたナナセちゃんは、その瞳で一瞬だけ私を睨んだ。