何だか、急に自分が欲張りになった気がする。





でも、最後の一歩を踏み出さずにいられたのは、分かっていたからだ。



プライドなんて格好いいものじゃなく、一度甘えてしまったら歯止めがきかなくなることを分かっていた。





「……ジンは、どうして私のペットになったの?」


「え?」


「普通、断るでしょ…。」




ジンは私の方に振り返ると、少し考えてから口を開いた。



「うーん、確かに最初は頭おかしいのかなぁ、なんて思ったよ。
でも、いいなぁ、って思った。」


「いいなぁ?」




ジンはニコリと微笑む。

黒目がちなガラス玉みたいな瞳を細める 、
愛らしいえくぼ。





「俺はね、もう人生の…色々なことが嫌になってたから。
でも、ツバサちゃんは、
ダメになった俺に普通に接してくれただろ?何者かも分かんねぇ奴に、さ。
ツバサちゃんに拾われた時、俺はもう一度命を吹き込まれたような気がした。」


「……大袈裟。」


「大袈裟かなぁ。」




ジンは苦笑しながら言った。