「ツバサちゃん、ミルクティー冷めちゃうよ?」
「えっ?」
ジンの声にハッとした。
私はソファーに腰かけて、マグカップを持ったまま停止していたらしい。
我に返り、ミルクティーを啜る。
けれど、それはもう生温くなっていた。
ジンは、私の隣に座っていたが、やがて立ち上がると窓の外を眺めながら口を開いた。
「東京って、昼間見るとゴチャゴチャしてるなって思うけど、夜は星の海みたいだね。」
「……ロマンチスト。」
ポツリと可愛げのないことを呟く。
ジンは気にしていないようだった。
窓の向こうに広がるのは華やかすぎる東京の夜景、
そう遠くない場所に東京タワー。
飲みかけたミルクティーのカップをテーブルに置いて、私はジンの後ろ姿を見つめた。
何も聞かないでいてくれる優しさと、それでも寄り添っていてくれる優しさ。
観月さんの訪問から私の様子が目に見えて可笑しいことにも、何も言わない。
それが心地よくもあり、同時に酷く寂しかった。