車を飛ばし続けて数時間、
夜明けを迎えた空は、すっかり白み始めていた。
高速のサービスエリアの駐車場、
車はこのベンツを含めてトラックが数台だけ。
車を停めて、俺は深い溜め息を吐いた。
ずっと運転しっぱなしで、さすがに疲れた。
でも、この奇妙な逃亡に気持ちがハイになっているのか、眠気を感じないというのが自分でも不思議だった。
助手席のボケ店員・奥田梨子を見やると、彼女は大金の入ったボストンバックを抱えたまま、熟睡していた。
……よく、この状況で寝れるな。
仮にも、若い男と車内で二人きりなんだぞ。
警戒心とかねぇのかよ。
だけど、こうして見つめると、
口元に小さなホクロがない事以外は、やっぱり水沢詩織に似てる。
もちろん、全体的な雰囲気や声は違うが……。