「金を出せ。」
レジのカウンターを挟んで、店員に包丁を突きつける。
「これに、レジの金を入れろ。」
あれ?意外とよくね?
俺、強盗っぽいじゃん!
ボストンバックをカウンターに置いて、
俺は店員のリアクションを待った。
…………。
………………。
店員のリアクションを待った。
………待った。
店員のリアクションを……。
…………けっこう待ってる……よな……。
……え、まさかのノーリアクション?
「テメェ!さっさとしろよ!!」
俺は思わず顔を上げて、声を荒げた。
しかし、
そこで身体が固まる。
息を呑み、ただ、ただ、呆然とした。
なぜなら、俺の目の前にいる店員が………彼女にそっくりだったから。
水沢詩織に、驚くほど似ていた。