小さな部屋に敷かれた二組の布団。 隣で眠る梨子は、こちらに背を向けて穏やかな寝息をたてる。 風が吹くたびに、ガタガタと鳴る窓ガラス。 そんな些細な音が気になって、眠る事ができない。 ……眠れない理由は、それだけじゃない。 ……むしろ。 俺は梨子を起こさないように、注意深く起き上がる。 窓から差し込む月明かり。 今夜は満月のようで、いやに明るすぎる。