「駅から、この海沿いの道を一人で歩きながら、いつも胸を踊らせていました。
母には申し訳ないですが、家出は小さな旅でした。冒険でした!」


「…昔っから逃亡するのが好きだったんだな。」


「……はいっ!」






俺は想像してみた。




幼い梨子が、この海沿いの広い道を一人で歩く姿を。




海の匂いと波の音、空の色を全身で感じながら、歩いていたのだろうか。